読売理工の最寄駅は、後楽園駅と春日駅、そして水道橋駅です。

水道橋駅で下車して本校に通う場合は、東口で降りて、東京ドームシティに沿ってテクテク歩きます。そして、その雰囲気を横目に学校に通いますが、たまには、息抜きに入って遊ぶのもいいかもしれません。

東京ドームシティーHP https://www.tokyo-dome.co.jp/

さて、そのさっき下車した総武線なのですが…。

水道橋駅西口から飯田橋のほうに100mに行くと、JR日本橋川橋梁とその両側に小石川橋通架道橋という橋が接続して存在しています(写真右側。下に流れているのは、日本橋川です。)

何を突然と思う方もいるかもしれませんが。

みなさんは、この橋をみてどう思いますか? よく見る小ぶりの鉄橋に見える人も多いのではないでしょうか。

普段、まちを歩いているとステキなものに、眼がいってしまいます。それは専門家も同じで、デザインが優れたものを評価してしまいがちで、現実にそのような状態が続いてきました。

しかし、建築やまちの専門家になるみなさんには、見た目ではなくて、まちにあるものが、いいものなのか、よくないものなのかがわかる眼を養ってほしいと思います。

この日本橋川橋梁を観察すると、四角い鉄骨枠組みに斜めに材料が入っています。これをトラス構造といいます。大きな部材をつかって梁をつくるより経済的に構造物がつくれます。

そして、その横の通過道橋をよく見てみると、下のようなプレートが取り付けられていました。

HARKORT DUISBURG-GERMANY 1904と書いてあります。

つまり、ハーコートという会社が1904年(明治37年)につくった、ドイツ製の橋なのです。(デュースブルクというのは、ドイツ西部の地名です。)

そして、専門家がもっと調べると、川の上にあるトラス構造の橋の方も、ドイツのハーコート社製であることがわかりました。そして、これらの橋梁はレンガ積みの橋脚で支えられています。となると、なんとなく明治の香りが…。

そうなんです!

この橋はこの線路が出来た1904年から、そのまま、117年も使われているのです。100年以上も前の鉄橋の上を、過密ダイヤで走る総武線が通っているのは、すごいと思いませんか?地味でも、何万人もの足を、ずっとトラス構造でしっかり支えているのです。

このように、ちょっと地味でも、縁の下で産業を支えてきた建造物や機械を「近代化遺産」といいます。

例えば、工場や機械、橋、ダム、トンネル、発電所、鉄道施設などが、価値があるものと考えられるようになりました。 例えば、近代化遺産で有名なものに、「軍艦島」があげられます。戦後は、荒れ果てた孤島でしたが、ここで、たくさんの石炭が出て日本を支えたこと、建築分野では綿密な建築計画が行われことが再発見され、今では世界遺産になっています。

軍艦島(端島):
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nagasaki_Hashima_01.png

実は日本橋川橋梁・小石川橋通架道橋も、近代化遺産として、土木学会が「鉄の橋百選」に選んでいます。

まちにあるものの価値は最初からあるものではありません。

誰かが価値を発見するものなのです!

まちを歩いて、わたしたちと一緒に色々なものを発見しませんか?