サラカン、タケカン、クダカン 【工事業界の専門用語その2】

電気工事実習では、卒業時に養成課程の修了が認められる「第二種電気工事士」のレベルを超える内容も勉強しています。

電気工事系科目の講義でも、「第二種電気工事士」が知らなければならない知識に加えて、卒業後に電気工事の現場に出ても困らないためのお話しをしています。

前回は、「施工」について書きましたが、新築現場での工事が始まると、現場事務所が工事敷地内に建てられ、その工事仕様や工程の進捗に関する会議が関係者全員を集めて現場事務所で定例的に行われます。

製品の仕様は決まっているものの、どのメーカーの何にするかが具体的に決まっていない場合や、現場での製品の設置場所や寸法の確認、調整にメーカの方が現場事務所で行われる会議に出席することがあります。
現場の会議では、「サラカン」、「タケカン(クダカン)」という言葉が普通に交わされ、メーカーの方は理解に苦しむことが少なくないようです。

電気工事業を営むためには、電気工事士と電気工事施工管理技士の有資格者が原則的に必要です。
電気工事士に第一種と第二種があるように、電気工事施工管理技士には1級と2級があります。

電気工事士は電気工事士法で定められている資格ですが、電気工事施工管理技士は建設業法で定められている資格です。

① 自社の立場は、元請なのか、下請の協力会社なのか?
② 元請の場合、協力会社に支払う下請負工事代金の総額はいくらなのか?
建設業法では、この2つの観点で、現場に配置すべき技術者を2種類に分かれています。

その2種類の技術者が、「監理技術者」と「主任技術者」です。

1級電気工事施工管理技士は、監理技術者にも主任技術者にもなれます。
2級電気工事施工管理技士は、主任技術者にはなれますが、監理技術者にはなれません。

そこで、配置すべき技術者(監理技術者、主任技術者)や、技術者の資格(電気工事施工管理技士)の話しになったときに出てくるのが、「サラカン」や「タケカン(クダカン)」という言葉です。

いちいち監理技術者というのは面倒なので、「皿(サラ)のついている漢字を使っているカンリ」なので「サラカン」と略して言います。
施工管理の管は「”たけかんむり”の”くだ”という漢字が用いられているカンリ」なので、「タケカン」または「クダカン」と略されます。

建築設計の世界の「設計・監理」という業務もあるのですが、現場事務所の会議で話している人たちは、業務に関する話をしているのか、配置すべき技術者を話しているのか、管理について話しているのかをを理解しあって話しているので、当事者間ではコミュニケーションが成立しているのですが、業界外からの会議出席者にはどうやら意味不明になってしまうようです。

2年間の在学期間で、電気工事士に必要な技能と、工事現場の仕事で必要とされる知識の両方を、しっかりと学んでもらえるように、授業の内容を担当する教員がいつも考え続けています。

この学校の卒業生は、2級電気工事施工管理技士の受験資格においても政令で優遇されていることは、電気工事業界への就職を目指す方にはメリットだと思っています。

「セコウ」と「シコウ」 【工事業界の専門用語その1】

夏休みが終わり、1年生も2年生も授業が始まりました。
2年生の夏休み明けの授業の最初は「工事施工法」。
「こうじ・せこう・ほう」と読みます。

電気の仕事には、前回ご紹介したように多くの法律が関係しています。
11月の2級電気工事施工管理技術検定に向けて、2年生の受験希望者向けの講義も再開しました。
夏休み前に施工管理法を終え、夏休み明けからは法規に取り組んでいます。

そこで目の前に出てくる言葉が「施行」
「せこう」とも読みますし、「しこう」とも読みます。

工事業界では、「施工」と「施行」を区別するため、
「施工」を「せこう」、
「施行」を「しこう」、
と読んでいます。

それでもときどき分電盤の銘板に「○○年○○月○○日、○○○○株式会社 施行」というのを見かけます。
「施行」ではなく、「施工」が実は正解です。

卒業するまでに、しっかりと覚えていただきたいと思っています。