【実践力講座1】障害の未然防止

汚れや摩耗が原因と考えられる電気系統配線の断線が原因で、無人の自動運転で走る新交通システムが逆走するという事故が発生しました。

コンピュータシステムのようなインフラの障害は、社会に与える影響も多く、われわれ保守担当の技術員は24時間365日の保守体制を組み、緊急対応にあたっていました。

当時はQCサークル活動と呼ばれる小集団活動が活発な時代で、われわれ現場の保守活動を預かる技術課では、障害の未然防止をテーマとして取り上げ、緊急保守対応時間を低減し、システムのサービス能力の向上と、現代で言うならば「働き方改革」を実現しました。

先ず始めに、バスタブ曲線(故障率曲線)の考え方に基づいて、緊急対応で呼ばれた全ての障害を、初期故障、偶発故障、劣化による故障に分類しました。そして、劣化による故障に分類されたものを、部品ごとに交換の目安となる時期を特定し、交換の目安が到来する部品は定期保守で交換を実施することで、劣化による故障を事前に防止し、交換時期の目安の精度を向上させていきました。

屋外を走行する自動運転車両の場合には、同じ部品であっても、空気中の塩分濃度や、寒暖の差など、走行環境によって、劣化の要因となる環境は異なるため、運行エリアによって、交換の目安となる時期は異なることが想定されます。

障害のデータを分析することで対策を講じ、今後の事故の歯止めがかけられることを願っています。

本校は「自由で、創造性豊かな全ての青年たちに、民族や宗教、国境を越えて門戸を開き、未来の地球を支える科学技術力を、実学、実習、実践を通じて身につける。」ことを建学の精神としています。これまでの現場での実務経験を通して身に着けた実践力を、学生の皆さんにも伝達して、未来の地球を支える科学技術者を育てていきたいと考えています。

画像は小集団活動のイメージです。(現在は社会で活躍している卒業生の皆さんです)