工事担任者【電気系資格その12】

メタル配線工事工事担任者は固定電話やインターネット接続機器などを電気通信回線に接続する工事に必要な資格です。

電気通信回線はアナログ伝送路設備とデジタル伝送路設備、そして両方にまたがる総合デジタル通信用設備(ISDN)に分類されます。

工事担任者にはAI種とDD種があります。

AI種は更にAI第一種、AI第二種、AI第三種に分かれています。
その種類に応じて、アナログ電話回線やISDN回線に接続できる回線数が異なります。

DD種もDD第一種、DD第二種、DD第三種に分かれています。
その種類に応じて、接続ができるデジタル回線の信号入出力速度が異なります。

AI第一種には回線数の制限が無く、DD第一種には信号入出力速度の制限がありません。
工事担任者にはAI・DD総合種という、AI第一種とDD第一種を統合した、全ての電気通信回線の接続工事が可能な資格があります。

平成17年(2005年)の工事担任者規則改正までは、ISDN回線の接続はアナログ種ではなくデジタル種に含まれていましたが、現在はDD種ではなくAI種に含まれています。
工事担任者規則改正前のアナログ種とデジタル種の工事担任者資格も引き続き有効となっており、ISDN回線の接続はデジタル種とAI種の両方で可能になっています。

電気通信事業者【初学者の電気通信その2】

電話機電気通信事業者とは携帯電話やインターネットの電気通信サービスを行っているキャリアなどのことです。

電力会社が電気事業法に基づいて事業を行っているのに対して、電気通信事業者は電気通信事業法に基づいて事業を行っています。

電気通信の自由化と、日本電信電話公社(電電公社)の民営化に伴い、昭和60年(1985年)に電気通信事業法が公衆電気通信法から改正されました。
それまでは、公衆電気通信法に基づいて、日本電信電話公社(電電公社=NTT)と国際電信電話株式会社(KDD)が、国内と国際のエリア分けをして、電話サービスやデータ通信サービスを提供していました。

電気通信事業法改正の2年後、昭和62年(1987年)には、第二電電株式会社(DDI)、日本高速通信株式会社、日本テレコム株式会社の3社が長距離電話サービスに参入し、その後の再編を経て、現在のKDDI株式会社とソフトバンクテレコム株式会社へと至っています。

改正前の公衆電気通信法では、電電公社またはKDDの認定を受けた工事担任者でなければ、自宅や一般的な事務所に固定電話などを設置する、公衆電気通信設備工事ができませんでした。

電気通信事業法の改正に伴い、工事担任者は国家資格となりましたが、電電公社またはKDDの認定を受けていた工事担任者は、新制度でのアナログ種またはデジタル種の工事担任者として認定され、引き続き公衆電気通信設備の工事を行えるようになりました。
その後、工事担任者資格は平成17年(2005年)に現在のAI種とDD種に種類と工事範囲の変更が行われました。
しかし、変更前のアナログ種とデジタル種の読み替えなどは行わず、AI種およびDD種と共に、引き続き国家資格として認められ、工事の範囲はそのまま有効となっています。

本校電気電子学科は総務大臣認定の工事担任者教育施設になっているので、卒業後の受験時には全種目で基礎科目免除となり、技術と法規の2科目のみを受験すれば良いことになっています。

電気通信工事【初学者の電気通信その1】

デジタル回路電気工事に似ているものに電気通信工事があります。

国土交通省の「建設工事の例示(建設業許可事務ガイドライン)」によれば、電気工事と電気通信工事の例としては次のとおりです。

電気工事
発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む。)工事、照明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

電気通信工事
有線電気通信設備工事、無線電気通信設備工事、データ通信設備工事、情報処理設備工事、情報収集設備工事、情報表示設備工事、放送機械設備工事、TV電波障害防除設備工事

ビルやマンション、住居内の電気工事は、構内電気設備と呼ばれています。
電話やインターネット、テレビ関係は電気通信工事に含まれます。

電気工事と電気通信工事は法的にも分離されており、電気通信関係の資格がなければできない電気通信の仕事があります。

平成31年度からは電気通信工事施工管理技術検定も開始され、電気通信工事施工管理技士が誕生します。

電気工事施工管理技士資格取得法【電気系資格その11】

電気工事施工管理技士には1級と2級があり、それぞれの技術検定に合格しなければいけません。

技術検定は学科試験と実地試験に分かれています。

1級の学科試験は学歴や保有する国家資格によって指定される実務経験を満足することにより受験が可能です。

2級は学科実地試験が同時に行われ、学歴や保有する国家資格によって指定される実務経験を満足することにより受験が可能です。
しかし、平成28年度から受験資格が緩和され、学科試験のみの受験であれば試験実施年度に満17歳以上になる方は誰でも受験できるようになりました。

1級の実地試験は学科試験の合格者のみが受験可能です。
但し、前年度の学科試験合格者と、指定される実務経験を満足する技術士(電気電子または建設)第二次試験合格者は、学科試験免除で実地試験の受験が可能です。

2級の実地試験は技術士(電気電子または建設)第二次試験合格者の他、「学科試験のみ受験」に合格後12年以内で、指定される実務経験期間満足後の連続2回まで、学科試験免除で「実地試験」を受験することが可能です。

本校電気電子学科は国土交通大臣指定学科なので、1級は卒業後5年以上、2級は卒業後2年以上の実務経験で受験が可能です。
しかし、経済産業大臣が指定する第二種電気工事士養成施設にもなっているので、卒業時に第二種電気工事士免状の交付を受けてから、通算1年以上の実務経験で、2級電気工事施工管理技術検定の実地試験が受験可能になっています。

直近5年間は受験希望者がいなかった等の理由により開講していませんが、平成24年度(2012年度)と25年度(2013年度)には、1級電気工事施工管理技士で監理技術者経験のある専任教員による資格講座を開催しました。
平成24年度は平均的な合格率でしたが、平成25年度は合格率100%、6名の受験者全員が合格しました。

来春から始まる平成31年(2019)年度も受験希望者がいれば資格講座は開講予定です。

 2級セコカン資格講座が終わる(2013年10月29日)http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52129438.html

施工管理技術検定合格発表!! (2013年02月04日)
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52099937.html

施工管理職の現状と動向【電気系資格その10】

denki5 (2)建設業就業者数は平成9年の685万人から、22年には498万人まで減少し、その後ほぼ横ばいを続けて、27年には500万人であると、国土交通省は「適正な施工確保のための技術者制度検討会」第13回検討会資料5-2「現状の課題」で報告しています。

この内、技術者数は平成9年には41万人、22年には31万人、27年には32万人であり、全体の就業者数と同じ傾向で推移していることが理解できます。

この資料では、建設業就業者数の55歳以上が約34%(全産業では約29%)、29歳以下が約11%(全産業では約16%)と高齢化が進行しているため、次世代への技術承継が大きな課題とされています。

総務省の「労働力調査」を元に国土交通省で算出した結果によれば、60歳から64歳までの建設業就業者数が35.7万人、65歳以上が42.4万人です。この約78万人の大半が10年後には引退すると見込んでいますが、29歳以下の就業者数はこの半数以下しかいません。

国土交通省ではこの検討結果を受けて、2級の施工管理技術検定の受験資格を緩和すると共に、試験回数も年1回から2回に増やしたりするなどの対策を既に講じています。

また、企業側としても、労働時間の減少と、休日を確保するための取組を、労働組合と一体となって開始しています。

かつては、元請が施工管理と施工の一部を行っていましたが、徐々にそれは下請に移行し、専門工事の施工管理も下請に移行してきているため、施工管理職の需要は益々高くなってきているといえます。

電気工事施工管理技士【電気系資格その9】

denki5電気工事施工管理技士は建設業許可を受けて電気工事業を営むときに必要な資格です。

建設業は下請けの協力会社へ発注できる請負代金の金額によって、特定建設業と一般建設業に分かれています。
施工管理技士有資格者は、特定建設業や一般建設業の許可基準になっている、営業所ごとに配置する専任の技術者になれます。
また、営業所とは別に、建設工事の現場に配置しなければならない、主任技術者または監理技術者の有資格者として認められています。

電気工事業は、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業と共に指定建設業になっているため、特定建設業の営業所ごとに配置する専任の技術者と、建設工事の現場に配置しなければならない監理技術者は、1級電気工事施工管理技士などの1級国家資格等の保有者でなければいけません。

その他にも、公共工事の入札参加資格でもある経営事項審査(経審)では電気工事業の場合、1級電気工事施工管理技士は技術士(建設または電気電子)と同じ5点、2級電気工事施工管理技士と第一種電気工事士は2点、第二種電気工事士【3年】と電気主任技術者(第一種~第三種)【5年】は1点が付与されます。

電気工事施工管理技士資格はある程度大きな電気工事を行うためには必須の資格であり、有資格者は現場で施工管理を行う管理職として処遇されています。

電気工事業と建設業法【初学者の電気法規6】

denki1電気工事に関する電気法規は、電気工事士法と電気工事業法です。
電気工事業法とは「電気工事業の業務の適正化に関する法律」のことで、一般用電気工作物と自家用電気工作物の保安を確保するために、電気工事業者の登録と、業務の適正実施を目的としています。

電気工事業者は経済産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないことが、電気工事業法第3条で決められています。
この登録を受けた電気工事業者を「登録電気工事業者」と言います。

但し第17条の2で、自家用電気工作物のみの工事であれば、事業開始の10日前までに通知すれば良いことになっています。
この通知による電気工事業者を「通知電気工事業者」と言います。

電気工事は建築工事や土木工事などと同じように建設工事と定義されているため、建設業法に基づいた建設業の許可も受けなければいけないことになっています。
但し、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事であれば、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

建設業許可を受ける電気工事業者と、受けない電気工事業者がいるため、電気工事業法では建設業許可を受けた電気工事業者を「みなし〇〇電気工事業者」として区別しています。

「登録電気工事業者」と同じ工事範囲であれば「みなし登録電気工事業者」として、「通知電気工事業者」と同じであれば「みなし通知電気工事業者」として、電気工事業法に基づいた届出または通知をしなければいけないことになっています。

ハインリッヒの法則 【工事業界の専門用語その7】

施工管理ヒヤリ・ハット報告を集めて、その背景にある不安全行動や不安全状態を分析して、重大災害発生の防止に役立てることをヒヤリ・ハット活動と言います。

ヒヤリ・ハット活動の根拠になっているのが、ハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則は工事業界だけにかかわらず、あらゆる職場での労働安全衛生管理に関連して出てきます。

アメリカの損害保険会社に勤務していたハインリッヒは、死亡などの重大災害を含む、多くの災害を分析することで、次の法則性を見出しました。

1件の重大災害が発生する背後には、29件の軽傷災害と、300件の物損などの事故が存在する。
そして、それらの発生要因として更に多くの不安全行動や不安全状態が存在している。

ハインリッヒの法則と同様に、重大災害とその他の災害件数を分析した結果として、バードの比率というのもあります。

工事の現場では、ヒヤリ・ハットなどの把握を積極的に行い、不安全行動や不安全状態を明確にすることで、可能な限り迅速、的確にその対応策を講じ、安全な職場環境の確保に努めています。

重大災害などが発生したときには、作業が中断となり工程に影響を与える可能性もあるため、安全管理を単独で行うのではなく、工程管理や原価管理とあわせた複合的な管理を現場では行っているのです。

ヒヤリ・ハット 【工事業界の専門用語その6】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52301024.html

標準電圧【初学者の電気法規5】

夜景普段当たり前に使っている電気のコンセントですが、そこに供給されている電圧は「標準電圧」として電気法規で決められています。

平成29年3月31日に改正された電気事業法施行規則の第38条では、電気を供給する場所で、標準電圧100Vは101Vの上下6Vを超えない値、標準電圧200Vは202Vの上下20Vを超えない値と定められています。

また、同条第2項では、周波数は電気事業者が供給する電気の標準周波数に等しい値とされています。

電圧と周波数の維持は、2ヶ月前に北海道で発生したような広域での停電発生を防止するためにも大変重要なことだからです。

電気事業法26条第1項で、一般送配電事業を行なう電気事業者には、これらの標準電圧と周波数の維持に努める義務が課せられています。
また、同法39条では、事業用電気工作物を設置する者に、事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持することを義務付けています。

それにあわせて電気工事士法第5条でも、電気工事士、特殊電気工事資格者、認定電気工事従事者に、一般用電気工作物と自家用電気工作物の工事に従事するときには経済産業省令で定める技術基準に適合するように作業をすることを義務付けています。

電気を安全に安定供給し続けるために、経済産業省が電気事業法と関係法令に従って技術基準を定め、電気を供給する電気事業者と、供給される需要家側が共にその技術基準を守ることによって、私たちは普段の生活を過ごすことができているのです。

電験免状取得法【電気系資格その8】

電験(電気主任技術者)免状を取得する方法は、年に1回実施される国家試験に合格するのが一般的です。

第一種、第二種、第三種の種別にかかわらず、受験資格には特に制限がなく、誰でも受験が可能だからです。
また、第一種電気工事士のような実務経験は要求されずに、国家試験の合格者には免状が交付されるからです。

受験資格に制限がないため受験者数も多く、合格率はかなり低くなっています。
直近の国家試験の受験者数と合格者数、合格率は次のとおりです。
 第一種(平成29年度)合格率3.5%(一次試験合格率☓二次試験合格率) 
  一次試験 受験者数1,567、合格者数363、合格率23.2%
  二次試験  受験者数569、合格者数86、合格率15.1%
 第二種(平成29年度)合格率3.6%(一次試験合格率☓二次試験合格率) 
  一次試験 受験申込者6,570、合格者1,737合格率26.4%
  二次試験 受験者数2,435、合格者数329、合格率13.5%
 第三種(平成30年度)合格率9.1%
  受験申込者42,976、合格者3,918

国家試験に合格する方法以外に、本校のような認定校を卒業する方法もあります。
在学中に必要とされる科目の単位を取得して卒業することで、第二種と第三種の認定資格が取得できます。
第二種は卒業後実務経験5年、第三種は卒業後実務経験2年で、免状交付申請をすることができます。

curr3s本校電気電子学科は文部科学大臣から職業実践専門課程の認定も取得しています。
電気工作物の保安監督業務に従事している実務家講師による実習や、報告書の作成を授業で実施し、保安監督の実務に即した指導をしています。

また、国家試験受験希望を持つ学生向けの資格講座を、国家試験合格者の教員が開講し、これまでに第二種および第三種の試験を在学中に挑戦し、在学中に第三種全科目に合格して卒業した学生もいます。