「立上り」と「引下げ」 【工事業界の専門用語その3】

電気の工事現場では、「立上り(たちあがり)」や「引下げ(ひきさげ)」という言葉が使われます。

これは、日本工業規格 JIS C 0303:2000 「構内電気設備の配線用図記号」で定められている図記号の名称で、電気工事士の試験にも出題されます。

それで、つい使ってしまうのが、「引下げ」に対して「引上げ(ひきあげ)」です。
図面上では、上のフロア(階)から下のフロア(階)に配線を下げることを「引下げ」、逆に上げることを「立上り」と呼んでいます。

従って、「引上げ」ではなく、「立上げ」が正しい呼び方なのですが、実際の作業では上から引張り上げることもあり、「引上げ」が間違いとは言えません。

しかし、「立下げ(たちさげ)」?
これは日本語として問題があります。

立つということは、座って下にいる状態から、立ち上がって上方向に向かうことです。
だから、下に向かって立つという日本語は間違いです。

「引下げ」に対して「引上げ(引き上げ)」が用いられるように、「立上り」に対して「立下げ」をときどき現場で耳にしますが、これは明らかに間違いです。

現場には老練な物知りで厳しい大先輩もいます。
現場で叱られることが少しでも減るように、しっかりと正しい言葉を覚えましょう。

但し、先輩の皆さんから叱られることを恐れてはいけません。
叱られるということは、それだけ叱ることで成長すると期待されているのですから。