ヒートポンプとは

連日30度を超える真夏日が続いています。
この季節を快適に過ごすにはエアコンは欠かせません。今回はエアコンについてお話しします。


エアコンはどうして冷房と暖房がスイッチ1つで切り替えられるのでしょうか。


冷房の時は、室内の空気の熱をくみ上げて、室外に出します。
暖房の時は、室外の空気の熱をくみ上げて、室内に出します。


この仕組みをヒートポンプといいます。


冷房を例にヒートポンプの原理を簡単に説明しましょう。


気体は圧力が上がると温度が上がり、圧力が下がると温度が下がります。


まず室外機で行われている原理です。


上の性質を利用して、エアコンの室外機にある圧縮機で冷媒を圧縮して高温高圧の気体を作ります。
この気体が室外機にある熱交換器で室外の空気に冷やされ中温高圧の液体になります。
その時、凝縮熱を放出します。
(空気中に冷えたコップを置いておくと、コップの回りの空気が冷やされて水滴になる現象と同じ)


次に室内機で行われている原理です。


室外機から送られた中温高圧の液体を室内機にある膨張弁で膨張させます。
すると周囲の空気から熱を奪い室内を涼しくします
この時、奪う熱のことを蒸発熱といいます。
(圧縮された空気を噴射すると周囲の空気から熱を奪い冷たくなります。高圧エアボンベからエアを抜くと噴射口の周りが冷たくなる現象と同じ)


これをまた室外機で圧縮し、このサイクルをくりかえします。


 


このヒートポンプで使われる液体を「冷媒」といいます。


低温でも非常に蒸発しやすい液体です。
エアコンでは冷媒はフロンを使用しており、現在はオゾン層を破壊しにくい代替フロンHFCが使われています。


ヒートポンプとは


暖房はこのサイクルの逆を行います。


このようにヒートポンプは、室内または室外の空気の熱をくみ出して、その温度を上げ下げしています。


 


最近のエアコンは、COP(※)が7近くになる高効率のものも出てきており、消費電力も10年前の半分ぐらいになりました。
また石油やガスを使う暖房器具を使うよりも、ランニングコストも半分ぐらいで済むヒートポンプのエアコンを使ったほうが経済的です。


次回は、ヒートポンプの原理を使った色々な、機器を紹介します。



(※)COPとは、エネルギー消費効率のこと。熱(暖房または冷房)出力を出すために使った入力(電気エネルギーを熱エネルギーに換算)の比。例えばCOP10とは、10の熱エネルギーを作り出すのに1の電気エネルギーを使ったという意味になります。 


読売理工医療福祉専門学校:電気電子学科