後から来る塩害【現場のなぜ?その3】

electricalworker台風24号が通過したのは9月30日から10月1日まででしたが、塩害による電柱や電線から火花が出たという報告は翌日の2日の夜からでした。

台風の強風によって海水が運ばれて付着した塩分が、電解質として霧や小雨に溶けることにより、通常より導電率が高くなった水分の中を漏れ電流が流れます。
導電率が高くなるということは、電気抵抗が低くなることなので、いつもの霧や小雨よりも電流を流しやすくなります。

電気抵抗に電流が流れると発熱し、その熱によって水分は蒸発し乾燥します。
その乾燥した部分の両端の水分には高電圧がかかったままなので、この乾燥部分で火花放電が発生すると考えられています。

火花放電が発生する条件として、霧や小雨といった少量の水分と、その水分を蒸発、乾燥させる時間が必要になります。
そのため、電気設備の塩害による影響は後から出てくるのです。

気象庁のデータによると、宮崎では9月30日16時に0.5mmの降水量記録を最後に雨は止みました。
その後は10月3日の21時に0.5mm未満の降水量が記録され、10月4日の朝6時まで降水量が記録されています。
宮崎ではその後も断続的に雨が降り、4日18時頃から1時間20分程度、JR日豊線と宮崎空港線の一部区間で大規模停電による運行トラブルが発生しました。

千葉では10月1日3時に0.5mmの降水量を記録した後に雨は止み、10月4日13時の0.5mm未満の記録から断続的に降水量が記録され始めています。
翌朝の5日7時45分頃には千葉市の京成線西登戸駅で停電が発生。京成電鉄では9時半までに他の駅3か所でも電線からの火花を確認したため、19時50分頃まで全線で運転を見合わせ、電気設備の点検を行いました。

降水量の記録開始から、実影響までの時間差から考えると、10月2日に電柱や電線から火花が出たのは、前日まで続いた台風による大雨の水分による影響の可能性が疑われます。

塩害停電対策【現場のなぜ?その2】
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