許可主任技術者【電気系資格その4】

許可主任技術者とは申請により許可された場合に、電気工事士免状取得者が特定の自家用電気工作物の電気主任技術者になることです。

特定の自家用電気工作物に限られる理由は、選任許可申請をする電気工事士免状取得者が、許可を受ける自家用電気工作物があるビルや構内に常駐していなければならないからです。

第一種電気工事士免状取得者は最大電力が500kW未満の自家用電気工作物、第二種電気工事士免状取得者は最大電力が100kW未満の自家用電気工作物の、許可主任技術者として選任許可申請をすることができます。

塩害停電対策【現場のなぜ?その2】

送配電線路(送電線・配電線の設備)や屋外変電所の碍子(がいし)に付着した塩分が霧や小雨に溶けることにより、その塩分を含んだ水を流れる漏れ電流が塩害発生の原因と考えられています。
塩分を含んだ水の電気抵抗は、一般的な雨水や水道水の100分の1程度になります。
電気抵抗が小さくなれば、碍子表面の漏れ電流は流れやすくなり、電流の増加によって発熱量は増加します。
その発熱によって碍子表面が乾燥し、部分放電が発生したり、フラッシオーバーに移行することによって事故が発生し、停電を引き起こします。

空気中の塩分量は風速の2乗で増加するという研究結果もあり、風速10m/s以上の海風が吹くときには、沿岸部の各種構造物などへの塩分付着量が急増するとされています。

それでは、なぜ沿岸部では塩害による停電が少ないのでしょうか。
それは、塩害の発生が考えられるところでは、塩害対策が既に講じられているからです。

塩分付着量は海岸から離れるに従って減少するという分析結果があり、停電事故を防止できる最適な碍子の選定と配置を電力会社は進めているのです。

今回の平成30年台風24号では関東地方でも非常に強い風が吹き、最大風速と最大瞬間風速の観測史上1位の値を更新した地点が複数あります。
台風通過前に太平洋から吹き込んだ強い南風は、これまで塩害対策を施す必要がなかった海岸から離れた地域まで、大量の塩分を運んで塩害発生に至る量の塩分付着を引き起こしたようです。

塩害対策については、第二種電気主任技術者試験(電験第二種)では2006年度、第三種電気主任技術者試験(電験第三種)では2008年度や2015年度などに出題されています。

認定電気工事従事者【電気系資格その3】

認定電気工事従事者とは第一種電気工事士でなくても自家用電気工作物の簡易電気工事作業に従事ができるという資格です。
具体的には、最大電力500kW未満の需要設備(「自家用電気工作物」という)のうち、電圧600V以下で使用する電気工作物の工事(電線路に係るものを除く)が認められています。

次の3者は申請のみで認定証を取得することができます。
①第一種電気工事士試験合格者
②第二種電気工事士免状取得後、電気に関する工事の実務経験が3年以上ある者
③電気主任技術者免状取得後、電気工作物の工事、維持もしくは運用に関する実務経験が3年以上ある者

第二種電気工事士の資格を取得して就職したときに現実的に問題となるのが、お客様の現場は自家用電気工作物なのに、第二種電気工事士は一般用電気工作物しか工事が許可されていないということです。

そのため、次の2者は電気工事技術講習センターが実施する「認定電気工事従事者認定講習」を受講し、その講習修了証等を添えて申請することで、認定証を取得することができるようになっています。
①第二種電気工事士免状の交付を受けた者
②電気主任技術者免状の交付を受けた者

認定電気工事従事者の認定証取得は、電気工事士免状取得者以外に、電気主任技術者免状取得者にも認めれています。

取得方法が似ているものに特種電気工事資格者があります。

特種電気工事資格者でなければ、ネオン工事と非常用予備発電装置工事(自家用電気工作物の保安上支障がないと認められる作業であつて、経済産業省令で定めるものを除く。)に従事できません。

ネオン工事の特種電気工事資格者も、非常用予備発電装置工事の特種電気工事資格者も、認定講習の受講と5年以上の工事の実務経験が必要です。
特種電気工事資格者認定講習の受講資格は、電気工事士免状取得者のみです。

自家用電気工作物【初学者の電気法規2】

自家用電気工作物とは、電気事業用の電気工作物以外の事業用電気工作物です。
一般用電気工作物は、電気事業用の電気工作物から、低圧で受電しています。
自家用電気工作物は、電気事業用の電気工作物から、高圧や特別高圧で受電しています。

一般用電気工作物、自家用電気工作物、電気事業用の電気工作物と区分されていますが、
全ての電気工作物は変電設備や送電線、配電線でつながっています。

自家用電気工作物の設置者は、保安規程を作成して、電気主任技術者を選任し、電気の保安を確保することが法律で義務付けられています。
この電気主任技術者に選任される前提となる国家資格が、電験と呼ばれている電気主任技術者試験の合格者です。

電気主任技術者の資格は、第一種、第二種、第三種に分かれており、その種別によって電気法規で許可されている電気工作物の規模が異なります。

電気主任技術者は電気工事士と共に、電気法規に従って電気工作物の安全に責任を持つ仕事です。

電験認定校定期立入調査が終了しました

電気電子学科は電気事業法の規定に基づく主任技術者(電験)の資格等に関する省令第1条第1項に規定する教育施設として認定されています。

認定校は定期的に立入調査を実施することが経済産業省で定められています。
本年度は定期立入調査年にあたり、調査官(経済産業技官)に来校頂き、授業内容や実験設備、実習設備を確認頂きました。

本校は2020年4月に、現在の港区芝から文京区小石川に移転を予定しています。
次回は移転後、2020年度に移転に伴う立入調査が実施されます。

2020年4月文京区小石川に新キャンパス開校
https://www.yomiuririkou.ac.jp/iten/

一般用電気工作物【初学者の電気法規1】

電気工作物は一般用電気工作物と事業用電気工作物に分けられます。

電気工事士には一般用電気工作物の設置と変更が認められています。
今は第一種と第二種に分けられている電気工事士ですが、これは今も昔も変わっていません。
電気工事の欠陥による災害の発生を防止するために、電気工事士制度は作られました。
制度が作られたのは戦争が終わってから15年目で50年以上前になります。
当時の電気工事の多くは個人の住居や、個人経営の店舗などでした。
そうした電気工事の対象は、一般用電気工作物に区分される電気工作物でした。

一般用電気工作物とは外部から低圧の電気をもらって、その中だけで電気を使用する電気設備です。
当時発電設備を持っているのは一部の企業だけでした。
発電設備があれば一般用電気工作物ではなく事業用電気工作物に区分されていました。
しかし現在は、一般用電気工作物でも太陽光発電設備などの小出力発電設備の設置が認められるようになっています。

電気工事に関する法律はいろいろありますが、全体をまとめて電気法規と呼んでいます。
電気工事士は電気法規を守って仕事をします。
科学技術の発展に伴い、新しい技術を身に着けていくとともに、改正される法律も勉強し続けていくのが電気工事士の仕事です。

第一種電気工事士【電気系資格その2】

第一種電気工事士資格は昭和63年の電気工事士法改正により誕生しました。
一般用電気工作物の設置や変更作業が認められていた改正前の電気工事士資格は、第二種電気工事士資格に改正されました。
そして、第一種電気工事士には最大電力500kW未満の自家用電気工作物の作業も認められるようになり、一部の限定された高圧電気設備の作業もできるようになりました。
それまでは、自家用電気工作物を管理する電気主任技術者の監督の指示で動いていた電気工事士が、第一種電気工事士の資格を取得することで、仕事の幅を広げられるようになったのです。

第一種電気工事士も第二種電気工事士も、誰でも国家試験を受験することができます。
第二種電気工事士免状は、試験に合格するか、この学校のような養成施設を修了すれば、すぐに取得できます。
しかし、第一種電気工事士免状は、最低3年以上の実務経験がなければ取得できません。
その上、免状取得後は5年ごとに定期講習を受講しなければいけません。

第一種電気工事士誕生の背景として、昭和60年代初めに、わりと規模の小さい中小ビルや工場の自家用電気工作物で、電気工事の不備による事故が増加したため、自家用電気工作物の工事段階における保安の強化が求めれたことがあります。
従って、第一種電気工事士に対しては、電気工事に関する技術や保安規制に関する知識を常に更新していくことが求められ、社会の重要なインフラである電気設備の安全を守ると共に、作業者である自分自身の安全を守ることが義務付けられているといえます。

電気電子学科では、在学中に第一種電気工事士試験に合格し、卒業後に実務経験を積むことで免状が取得できるように受験指導をしています。

イッテコイ 【工事業界の専門用語その4】

「イッテコイ」は工事現場に限らず、舞台や映像コンテンツの制作現場や、証券取引業界などでも、同じ意味で用いられています。

配線工事では設計図などの設計の指示に従って、現場作業で必要な長さを計算してケーブルの準備をします。
配線をする区間の長さに、作業で加工する部分の長さと、ある程度のリスクを考慮した長さを加えた長さのケーブルを準備します。
必要な長さに切断をした短めのケーブルを現場に持ってくることもありますが、50メートル巻きや100メートル巻きのケーブルを持ってきて現場で切断することもあります。

「イッテコイ」は現場で長さを確認することに使われます。
例えば、入口から奥の壁まで直線で15メートルの部屋があったときに、入口から配線を開始して、奥の壁で折り返して、また元の入口まで戻って来る配線をするときに、「行って、来いで、30メートル」という表現をします。

ある位置から一定の地点まで移動して、始めの位置まで戻って来ることを「イッテコイ」と言っているのです。

第二種電気工事士【電気系資格その1】

第二種電気工事士は、電気工事に必要な基礎知識があることを証明する国家資格です。
国家資格ですから、年に2回行われる国家試験を受けて、免状を取得するのが一般的です。

電気電子学科の2年間の授業は、第二種電気工事士に必要な知識と技能を学べるものになっています。
これは経済産業省にも認められており、卒業時には「養成施設修了証明書」を発行します。
国家試験の「試験合格通知書」の代わりに、この証明書で第二種電気工事士免状が入手できます。

電気工事をするのに国家資格が必要な理由は、重要な社会インフラに関係する仕事だからです。
国家試験の筆記試験では、電気工事士が必要な知識の中から50問が出題され、30問以上の正解で合格です。
技能試験では13種類の候補問題が公表され、その中から試験当日に指定される1種類を作ります。

この学校の実習では、リングスリーブや差込型コネクタを使用しない電線の接続法から、現場で必要とされる電線管の加工などを実際に行い、現場で使える電気工事士を養成しています。
知識についても、上位資格の第二種電気主任技術者(電験二種)レベルで授業を行っています。

免状取得はゴールではなく、スタートラインと言われています。
この学校で電気工事士として身に着けなければいけない知識と技能を身に着けて、
自信を持って就職してくれることを願っています。

「それなり」

ある授業で学生の皆さんに、どんな人生にしたいかをたずねました。

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それなりの仕事ができるエンジニアになりたい

それなりの暮らしがしたい

それなりに稼げるようになりたい

それなりに・・・
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それなり?
不満が決してないわけではないが、自分としては満足できるレベル

周囲の大人は頑張れ、頑張れと競争心をあおるけれど、
自分自身が満足できる目標を設定することは意外と難しい。

「それなり」ってみんなが言うけど、
ひとりひとりの「それなり」は決して同じではない。

①第二種電気工事士の資格取得
②第二種電気主任技術者(電験二種)認定資格
③工事担任者基礎科目免除
2年間で必要な単位を取得して卒業すると、
これだけのメリットがあります。

けれども、
この前、第三種電気主任技術者(電験三種)試験に挑戦した学生がいます。

これまでに、第一種電気工事士試験に合格した学生がいます。
在学中に2級電気工事施工管理技士の学科試験に合格して、
電気工事業界に就職した学生がいます。

みんなの「それなり」を応援しています。