電気工事施工管理技士【電気系資格その9】

denki5電気工事施工管理技士は建設業許可を受けて電気工事業を営むときに必要な資格です。

建設業は下請けの協力会社へ発注できる請負代金の金額によって、特定建設業と一般建設業に分かれています。
施工管理技士有資格者は、特定建設業や一般建設業の許可基準になっている、営業所ごとに配置する専任の技術者になれます。
また、営業所とは別に、建設工事の現場に配置しなければならない、主任技術者または監理技術者の有資格者として認められています。

電気工事業は、土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業と共に指定建設業になっているため、特定建設業の営業所ごとに配置する専任の技術者と、建設工事の現場に配置しなければならない監理技術者は、1級電気工事施工管理技士などの1級国家資格等の保有者でなければいけません。

その他にも、公共工事の入札参加資格でもある経営事項審査(経審)では電気工事業の場合、1級電気工事施工管理技士は技術士(建設または電気電子)と同じ5点、2級電気工事施工管理技士と第一種電気工事士は2点、第二種電気工事士【3年】と電気主任技術者(第一種~第三種)【5年】は1点が付与されます。

電気工事施工管理技士資格はある程度大きな電気工事を行うためには必須の資格であり、有資格者は現場で施工管理を行う管理職として処遇されています。

電気工事業と建設業法【初学者の電気法規6】

denki1電気工事に関する電気法規は、電気工事士法と電気工事業法です。
電気工事業法とは「電気工事業の業務の適正化に関する法律」のことで、一般用電気工作物と自家用電気工作物の保安を確保するために、電気工事業者の登録と、業務の適正実施を目的としています。

電気工事業者は経済産業大臣または都道府県知事の登録を受けなければならないことが、電気工事業法第3条で決められています。
この登録を受けた電気工事業者を「登録電気工事業者」と言います。

但し第17条の2で、自家用電気工作物のみの工事であれば、事業開始の10日前までに通知すれば良いことになっています。
この通知による電気工事業者を「通知電気工事業者」と言います。

電気工事は建築工事や土木工事などと同じように建設工事と定義されているため、建設業法に基づいた建設業の許可も受けなければいけないことになっています。
但し、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事であれば、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

建設業許可を受ける電気工事業者と、受けない電気工事業者がいるため、電気工事業法では建設業許可を受けた電気工事業者を「みなし〇〇電気工事業者」として区別しています。

「登録電気工事業者」と同じ工事範囲であれば「みなし登録電気工事業者」として、「通知電気工事業者」と同じであれば「みなし通知電気工事業者」として、電気工事業法に基づいた届出または通知をしなければいけないことになっています。

ハインリッヒの法則 【工事業界の専門用語その7】

施工管理ヒヤリ・ハット報告を集めて、その背景にある不安全行動や不安全状態を分析して、重大災害発生の防止に役立てることをヒヤリ・ハット活動と言います。

ヒヤリ・ハット活動の根拠になっているのが、ハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則は工事業界だけにかかわらず、あらゆる職場での労働安全衛生管理に関連して出てきます。

アメリカの損害保険会社に勤務していたハインリッヒは、死亡などの重大災害を含む、多くの災害を分析することで、次の法則性を見出しました。

1件の重大災害が発生する背後には、29件の軽傷災害と、300件の物損などの事故が存在する。
そして、それらの発生要因として更に多くの不安全行動や不安全状態が存在している。

ハインリッヒの法則と同様に、重大災害とその他の災害件数を分析した結果として、バードの比率というのもあります。

工事の現場では、ヒヤリ・ハットなどの把握を積極的に行い、不安全行動や不安全状態を明確にすることで、可能な限り迅速、的確にその対応策を講じ、安全な職場環境の確保に努めています。

重大災害などが発生したときには、作業が中断となり工程に影響を与える可能性もあるため、安全管理を単独で行うのではなく、工程管理や原価管理とあわせた複合的な管理を現場では行っているのです。

ヒヤリ・ハット 【工事業界の専門用語その6】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52301024.html

標準電圧【初学者の電気法規5】

夜景普段当たり前に使っている電気のコンセントですが、そこに供給されている電圧は「標準電圧」として電気法規で決められています。

平成29年3月31日に改正された電気事業法施行規則の第38条では、電気を供給する場所で、標準電圧100Vは101Vの上下6Vを超えない値、標準電圧200Vは202Vの上下20Vを超えない値と定められています。

また、同条第2項では、周波数は電気事業者が供給する電気の標準周波数に等しい値とされています。

電圧と周波数の維持は、2ヶ月前に北海道で発生したような広域での停電発生を防止するためにも大変重要なことだからです。

電気事業法26条第1項で、一般送配電事業を行なう電気事業者には、これらの標準電圧と周波数の維持に努める義務が課せられています。
また、同法39条では、事業用電気工作物を設置する者に、事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持することを義務付けています。

それにあわせて電気工事士法第5条でも、電気工事士、特殊電気工事資格者、認定電気工事従事者に、一般用電気工作物と自家用電気工作物の工事に従事するときには経済産業省令で定める技術基準に適合するように作業をすることを義務付けています。

電気を安全に安定供給し続けるために、経済産業省が電気事業法と関係法令に従って技術基準を定め、電気を供給する電気事業者と、供給される需要家側が共にその技術基準を守ることによって、私たちは普段の生活を過ごすことができているのです。

電験免状取得法【電気系資格その8】

電験(電気主任技術者)免状を取得する方法は、年に1回実施される国家試験に合格するのが一般的です。

第一種、第二種、第三種の種別にかかわらず、受験資格には特に制限がなく、誰でも受験が可能だからです。
また、第一種電気工事士のような実務経験は要求されずに、国家試験の合格者には免状が交付されるからです。

受験資格に制限がないため受験者数も多く、合格率はかなり低くなっています。
直近の国家試験の受験者数と合格者数、合格率は次のとおりです。
 第一種(平成29年度)合格率3.5%(一次試験合格率☓二次試験合格率) 
  一次試験 受験者数1,567、合格者数363、合格率23.2%
  二次試験  受験者数569、合格者数86、合格率15.1%
 第二種(平成29年度)合格率3.6%(一次試験合格率☓二次試験合格率) 
  一次試験 受験申込者6,570、合格者1,737合格率26.4%
  二次試験 受験者数2,435、合格者数329、合格率13.5%
 第三種(平成30年度)合格率9.1%
  受験申込者42,976、合格者3,918

国家試験に合格する方法以外に、本校のような認定校を卒業する方法もあります。
在学中に必要とされる科目の単位を取得して卒業することで、第二種と第三種の認定資格が取得できます。
第二種は卒業後実務経験5年、第三種は卒業後実務経験2年で、免状交付申請をすることができます。

curr3s本校電気電子学科は文部科学大臣から職業実践専門課程の認定も取得しています。
電気工作物の保安監督業務に従事している実務家講師による実習や、報告書の作成を授業で実施し、保安監督の実務に即した指導をしています。

また、国家試験受験希望を持つ学生向けの資格講座を、国家試験合格者の教員が開講し、これまでに第二種および第三種の試験を在学中に挑戦し、在学中に第三種全科目に合格して卒業した学生もいます。

ヒヤリ・ハット 【工事業界の専門用語その6】

施工管理ヒヤリ・ハットとは現場での作業中に、「ヒヤっとした」り「ハッとした」ことです。

例えば、転倒しそうになったので「ヒヤっとした」ことをヒヤリ・ハットと言います。
もしも転倒してしまって、現場で絆創膏を貼る程度では治まらず、病院で診察を受けて治療が必要になる程度の怪我をしていたら労働災害になります。
また、転倒したことが原因で近くにあったものに衝突してしまい、クレームや損害賠償請求の対象となる物損事故を発生させてしまう可能性もあります。

ヒヤリ・ハットは大きな問題にならない、軽微な怪我や物損であっても事故として取扱います。
それは、ヒヤリ・ハットが発生した背景には、必ず不安全行動や不安全状態があるからです。

現場では報告者の責任を追及せずに、ヒヤリ・ハットを報告させることで、現場に潜伏している不安全行動や不安全状態を明らかにして、大きな事故の発生を防いでいるのです。

電気主任技術者の将来【電気系資格その7】

再エネ電力会社や工場、ビルなどの電気工作物の保安監督を行える電気主任技術者(電験)有資格者は、第二種、第三種ともに、中長期的にも想定需要に対して十分に存在していると経済産業省は発表しています。

しかし、電験第二種については、想定需要に対して約4倍の有資格者が存在しているとされているにもかかわらず、今後の再エネ設備の全国各地での増加に伴い、地域によっては確保が難しくなるだろうと考えられています。

電験第三種についても、有資格者は充足しているという結果になっていますが、業務ビルから保安監督業務を受託している保安法人(業務受託企業)では、2020年頃から人材不足が始まり、25年後の2045年には想定需要約18,000人に対して3900人が不足することになるというモデル分析結果が出ています。

電験三種の有資格者不足の要因のひとつとしては、保安監督業務を委託する業務ビルが増加する一方で、電験認定取得が可能な新卒入職者数が減少することが想定されています。

全国的には十分な有資格者が存在しているにもかかわらず、地域や業種によっては、まだまだ有資格者が必要とされ続けるのが、電気主任技術者(電験)の将来展望であるといえます。

電気主任技術者【電気系資格その6】

denken電気主任技術者とは事業用電気工作物の保安監督のために配置することが電気事業法で定められています。
事業用電気工作物とは、発電所、送配電設備、受電設備などのことです。

「〇〇業法」というのは、その事業に対して必要な規制を行い、その事業のお客様を保護するのが一般的です。
しかし、電気事業法は受電設備の所有者であるお客様に対しても、電気主任技術者の選任を義務付けています。
つまり、電気事業法では事業者とお客様が一体となって、全ての電気工作物の保安を確保しているといえます。

電気主任技術者資格には第一種、第二種、第三種があり、その技術レベルに応じて、対応可能な設備(電気工作物)の規模が定められています。

第三種電気主任技術者(電験第三種)には、出力5,000kW以上の発電所を除く、電圧50,000V未満の事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安監督が認められています。

第二種電気主任技術者(電験第二種)には、電圧170,000V未満の事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安監督が認められています。

第一種電気主任技術者(電験第一種)には、全ての事業用電気工作物の工事、維持および運用の保安監督が認められています。

これらの他、第一種電気工事士には許可主任技術者として、常駐地の最大電力が500kW未満の自家用電気工作物の工事、維持および運用の保安監督が許可される制度があります。

一般用電気工作物【初学者の電気法規1】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52299049.html

自家用電気工作物【初学者の電気法規2】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52299097.html

許可主任技術者【電気系資格その4】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52299448.html

第39回学園祭 テーマは”サイバーパンク”

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今週末、2018年10月27日(土)と28日(日)に、第39回学園祭 ”YOMIULINK FESTIVAL”が行われます。

電気電子学科ではいつも電気工事実習などを行っている3階301教室で、電気工事の展示・体験を行います。
そのついでに毎年恒例のちょっとしたゲームコーナーも用意します。
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301教室には1年生と2年生の学生がいるので、展示の内容や、ゲームコーナーの楽しみ方が分からなければ、気軽に声をかけてください。
5階の503教室では、他の学科の模擬店と一緒に、電気電子学科の学生がポテトを販売しています。

学園祭の企画、運営は他の学科の学生と協力して、全校の学生で行っていますが、電気電子学科の1年生が副実行委員長として企画段階から頑張っています。
そして、実行委員以外の電気電子学科の学生も、副実行委員長からのお願いで、準備作業に緊急で参加をして、一緒に頑張っています。
今回の学園祭のテーマ ”サイバーパンク” も副実行委員長の提案が採用されました。
この学園祭で多くの楽しい思い出を作って欲しいと思っています。

これからの進路を考えている中学生や高校生の皆さんには、ぜひ見に来て欲しいと願っています。
自分でもこんなことができるんだということに気づいて、これからの進路検討の参考にしてもらえると嬉しいです。

10月27日(土),28日(日)学園祭「YOMIULINK FESTIVAL」開催! | 読売理工医療福祉専門学校

https://www.yomiuririkou.ac.jp/news/2018/20181011.html

電気工作物の保安【初学者の電気法規4】

790480df8ff7648f752ddc2be354cb51_s電気事業法など、電気法規の目的は電気工作物の保安の確保です。
全国の発電所から一般家庭までを送電線や配電線で接続しているということは、全国がひとつの電気回路になっているということです。
実際は地域ごとに分かれている電源周波数50ヘルツまたは60ヘルツの交流回路が、同じ周波数の交流または直流で接続された、複数の交流回路で構成される大きな電気回路です。
従って、どこか一ヶ所で大きな事故が発生した場合には、多大な影響を与える可能性は否定できないのです。

一ヶ所で発生した電気工作物の事故が原因となって、広範囲の停電が発生しないように、様々な対策が多くの場所で行われていますが、電気事故が発生しないように、それぞれの責任範囲で安全状態を確保するために管理を行うことが重要です。
これが電気工作物の保安を確保するための管理です。

一般用電気工作物と、最大電力500キロワット未満の自家用電気工作物は、電気工事士制度によって電気工事の欠陥による災害発生の防止を行い、電気工作物の保安を確保しています。

電気工事士の工事が認められていない電気工作物は、電気主任技術者が電気法規や保安規程などに従って管理を行い、保安を確保しています。
事業用電気工作物の保安監督業務は、規模と業務の種別によって、許可主任技術者、ダム水路主任技術者、ボイラー・タービン主任技術者にも認めて、保安管理体制を維持するようにしているのです。

許可主任技術者【電気系資格その4】
http://blog.livedoor.jp/yomiuri_denki/archives/52299448.html